日本語の 不思議な言い回しのホントの意味 リストのペイジ |
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[ 項 目 ]
1)星の降る夜
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1)星の降る夜 なんか、ほーっとして、空を見る。満天の星空だ。何と言えばいいのか、素直に美しいと 思う。さて、だがだ、なぜ「星が降る」というのだ?いくら目を開いていても、「星は瞬けど も、降ることはなし」だよねー。流れ星なら降ってくるけどねー。しかも、星が雲間から二 つ、三つ見えるような時は「星が降る」とは言わないよ。 「霜が降る」。 これってのも変だぞ。どこからも降ってこない。理科の先生は「霜は土中の水分が 地面の付近で氷結することにより生ずる。水分が地中より表面に上がってきて次々に氷結すると 霜柱になる」と教えてくれた。「霜が降る」などとは言わなかった。 変と言えば、「雨が降る」、「雪が降る」というのも変だ。何が変だって〜? 降らない雨や雪って あるのかい? これらの疑問に対する答えへのヒントは、 実は「ふる」という日本語に対して「降る」という 「漢字」をあてたために、日本語の本来の表現が見えなくなったということなのだよ。 「ふーん、じゃ、どういうことなんよ」となるんだ。 それに対する説明の前に、「ふる」を用いる他の言葉を思い出さねばならない。すなわちだ、日本 中に「ふるかわ(古川、古河)」なる地名が多数ある。これも変じゃないか?。「新しい川」なら誰で もわかるが、「古川」などどうしてわかるのか。 そのヒントだけど、充てた漢字は異なるが、奈良盆地には「布留川」という川がある。大和川の 一支流である。現在では治山治水事業のおかげで、昔の面影は薄くなっているが、「布留川」は 大和盆地を蛇行しながら、極めて広い流域を持つ川なのだ。国土地理院の地図閲覧サービスを 使って、どんな川か観てください。 「ふ」という言葉はいろいろの意味を持っているけど、そのひとつは、「表面」、「外観」、「界面」 を意味する。「ふりをする(振りをする)」、「ふくれる(膨れる)」、「あふれる<あふる>(溢る)」 など、同じ謂れだ。ここの場合は「ふる」というのは「表面を覆う<おおふ>」ことを意味する。 するてーと、 「星が降る」=星が空を覆う 「霜が降る」=霜が地面を覆う 「雨がふる」=雨が地面を覆う 「雪が降る」=雪が地面を覆う 「布留川」、「古川」=蛇行しながら、平地を覆う様に流れる川。人工の堤防などなかった 時代の状況を想像してください。 ということがわかる。「ふる」ということに関してすべて共通の概念があることがわかるでしょ。 しかも、「それなら納得」できるでしょ?
末尾ですが、奈良地方の人々が、「布留川」という「万葉仮名」の名前を今日まで踏襲された ことに敬意を表します。
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