日本語の

          不思議な言い回しのホント意味

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108)みなづき(水無月)
 
6月の陰暦呼称のことです。この時期、新旧暦での多少のずれはありますが、夏と冬の入れ替わり
の気象上の特徴として、梅雨とか秋雨前線で代表される雨の続く季節になります。
それなのにこの月を「みなづき(水無月)」と呼んでいるんです。この矛盾を説明するに
旧暦と新暦のづれに目をつけて、旧暦の「水無月」は新暦の7月に相当し、したがって、
「梅雨明けの、雨の少なくなった月を意味する」とする向きもあります。梅雨明けは7月の中旬ごろですから、
如何でしょうかね。梅雨入りはというと6月の初旬です。
この矛盾の原点は「みなづき」に充てた漢字が不適切なことによります。
「みな・・」の言葉を当たってみると、「みなかみ(水上)」、「みなきは(水際)」、「みなぎる(漲る)」
「みなくち(水口)」、・・・。きりがない。いずれも現代語では「みずの・・」を意味していることは明白。
ということで、「みなづき(水無月)」は「みずのつき」のことと分かる。
 
当て字「無」が不適切んことということ。ほかに同種の適用例としては下記のようなものがある。
みなしがわ(水無し川):原義=見做し川。天にかかる銀河の別称。
みなしがわ(水無川):原義=水成し川。急流で雨激しいときのみに流れる。
やまなし(山梨):山成す。「山の頂上に梨の木があったので・・」と解説する人もいます。
さらに、有名なのが、
かんなづき(神無月):旧暦の10月に相当する。「神様が出雲の社に集まり、各地は神不在の月」
と説明する向きもあるが、全くの不適切当て字解釈説である。本件はすでに
2011年9月の本稿で解説済みなのでご一読ください。
なお、本説に関連して、かの有名な兼好法師がその著「徒然草」に解説してるのを
最近見かけました。(参照:徒然草 202段)。そのころからの矛盾を指摘されていたことと
を知り、かつ、語彙要素抽出合成法による語彙の概念の分析が有力なことも改めて知
りました。実は、遅まきながら。新明解古語辞典を調べたら載ってました。
念のため、記載します。
慣例を重んずるか、合理性を重んずるか、国語学の先生も大変である。
日本語中の漢字(国字を含め)はすべて当て字であることを忘れてはいけません。
語源を研究する場合は、漢字解釈ではなく、その由来の考察が必要なのです。
以上
本文
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