日本語の

          不思議な言い回しのホント意味

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113)あぶない<あぶなし>(危ない)
「あぶない」はごく日常的な言葉なんですが、「・・ない」というからには「・・」が無いことを意味する。
と考えた途端に「あぶ」ってのは何のことだろう、そもそも「あぶない」ってのは何を意味するんだろうか、
なんて不思議に思ってしまうんですが、皆さんはいかがでしょう。
いつも参照する広辞苑ではなんて書いてあるだろうかと調べてみると、
あぶない:@ハラハラするようだ。危険だ。Aふたしかであてにならない。Bすんでのことで
あるさま。あやうい。(筆者注:用例の説明は省略)
広辞苑の解説は置き換え説明で、なぜそういう言い方ができたのかは不明である。なんていっ
ても説明にならない。「あぶ」の意味を考えねばならない。
 例によって、語彙要素の概念の分析が必要である。
「あ」
原点は、発声ままならぬ赤子が何か自分の意向を表示する際の声「あー」にあると考えら
れる。擬性概念として広く展開されている。
1) 手の届かないところに在る場所、物を指し示す
「あっ」、「あ」、「あい
ま」:遠い居場所、空間
@    天空を表現する:天、天の川、
A    海を隔てた場所を表現する。転じて海事を意味する。
奄美:奄美島、天草、天橋立
」:遠くへだった場所(た)。「山のあなたの空遠く・・」
「あた」:手の届かない、あちら(あ)におられる(の)方(た)。
「た」は「と」(人のと)の音変化。「こた」は「ここにおられるかた」
2)展開されて、
@    「想い、意向」
A    「認識、印象」
などを意味する言葉の要素となっている。
たとえば
「あるところに」、「あるとき」
「あつまる」:何か考え、目的(あ)をもって(つ)、ある場所に所在する(ま
る)。
「あんまり」:案ずるに余りある。
「あやふや」:考えも見えない(あや)、行動も見えない(ふや)。何しようとしてんだ?と言う事。
「あれあれ?」:「あれ」は「ある反射的に思うこと」を意味することになる。思っても
解らないときの表現と言う事。
「あほ」:思い、判断(あ)が希薄(ほ)。「ほら(洞)」の項参照方。
3)展開されて、
     へだたりのある、今後到達する時をいみする。
「あした」:「あす」+「た」。これからなす(でる)時
「あさって」
と」 :これから来る( あ)時(と)
「あくるとし」: これからくる(あく)とし
「あくるひ」:これから来る日。
「あいだ<あひだ>」?
 
「ぶ」
    「ふ」の同類語彙要素。「強調、非日常的なことは濁音化する」と言う音変化による言
葉と考えられる。
「ふ」は「ふるまい」と言う言葉にあるように、外観的な行動のこと。
展開されて、
心や感情の動きを意味するようになっている。
いぶかし(訝し)、あやぶむ(危ぶむ)、いぶる(意ぶる)、
展開されて、
外観、外面への振る舞い、作用を意味するようになっている。
やぶる(破る)、えらぶる(偉ぶる)、天才ぶる、
ほかに、「む」の音韻変化によるものがある。
以上より、
「あぶ」は語彙要素の意味からすると、
「考え(あ)を巡らす(ぶ)」または「状況をみて(あ)心使いする(ぶ)」だと言う事が読み取れる。
結論を言うと、
あぶない」は「どうなるかわからない」と言うのが原意だと推察できる。
「広辞苑」解説のAに相当することになるか。
以上
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