日本語の

       不思議な言い回しのホントの意味

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116)ろ(城、白、代・・)と し(城)

同じ言葉でもアクセントが異なり、意味も違うものがいくらでもありますね。充てた漢字が同

じと言うのもあります。ここの例では、漢字の読みとは異なるので、日本の言葉に漢字をあてた

と言う事が明白です。では、もともとの日本語の意味はどうなっているのでしょうか。それが

本稿の主眼です。

 まずは「ろ」の意味と由来です。「し」は、もともとは「おっこ」に在るように、おしっ

こをする時の音「しー」を模した擬音語と考えられます。「52)しろ(白)」をご参照ください。

転じて、透明、無色、無垢なることを意味するようになり、さらに展開されて「素人」、「白木作

り」なんて言葉になる。一方で水ないし水面におおわれた場所を「ろ(城、白、代・・)」と

呼ぶようになっている。身近な例では「(稲の)苗代」。「しろかき(代掻き)」。地名では「いな

わしろ(猪苗代)」、「のしろ(能代)」、・・。別途解説しますが、「うみ(海)」に比べ範囲の狭い

水域のことと考えられます。「まつしろわん(松代湾)」もその例でしょう。(湾は後世付加した

名称と思われます)。北海道には「くしろ(釧路)」と言う地名もありますが、「釧路湿原」と言

うのがあるように、同じ由来の地名かと思われます。「アイヌ語」説を唱える向きもありますが、

厳然たる日本地名です。別途紹介します。 地名ではほかに「白子」なんてもありますね。

 じゃー「し(城)」ってのはなんでしょうか。江戸城、大阪城、姫路城・・・。数限りなく

「城」はあります。古くには「多賀城」なんてのもあります。これらの場合、読みは「じょう」

ですが、これは漢語の読みのためです。

 ですが、「し(城)をきづく」とか、「これはおれのしじゃ」、「しにかえってゆっくりし

よう」、なんて。日常的には「し」です。

 「し」の付く言葉には、「し(知る)」、「しむ(仕組む)」、「し」など例示にきりが

ありません。「しるに」なんてのもあります。

この場合の意味ってのはなんでしょう。なぜそういう意味を持つようになったのかは、まだ未解

明ですが、たくさんの言葉を並べて観察、分析した時に見えてくる共通の概念は、他の項でも取

り上げていますが、

(1)「し(知る)」が意味するように、物事の成り立ち、変遷、変化などを体系的に理解する

ことです。

「春になると草木が萌え花が咲く」なんていう現象の説明もその例です。季節の移り変

わりを知ることですね。

(2)派生、展開されて、

   ある人が、何か目標ないし目指していろいろ考え、策をねることです。

ある地域を統括、管理することは「し」です。

   「しく」とか「しか」はその結果ないしは手段を意味します。

(3)「し」というのはある人の狙い、意向「し」が高いこと、

   「したむ」というのは自分の狙い、考えに照らして考えること、・・・。

などなど切がありません。で「し(城)」は?

「し(城)」の目的機能から言っても、国家の置かれている情勢、事情を色々考え

統治目標に対してどういう手段をとるのか考え、指揮する(し)場所(ろ)と言う事なんでし

ょう。

だれが、どの時代にこのような呼び方をするようになったのかは今後の文献検証が必要です。

どなたか教えて。

 参考に:坂上田村麻呂の天皇への報告文での胆沢(伊澤)城の件は、「あした(朝)に胆沢

に城(きづ)き、暮れに胆沢に城(きづ)く。・・・」とあり、城を作ることは「きづく」と

言う表現になっています。胆沢城は現物が残っていませんが、その前代の多賀城を拝見すると、

多賀城は当時の海岸線より上った、丘の上にあり、いわゆる土塀によって周辺を囲ったもの

す。「きづく(杵築)」の呼びの言われは「き(木):木製の小槌」で突くった(たたき上げた

もの)」と言う事が明白になります。一度見に行ってください。「しろ()」が「つち(土)

をもって なす(成す)」の由来も見えてきます。 そういえば、中国のお城も、土を固めた

乾燥ブロックを積み上げたものでできており、石組みのものは聞いたことも、見たことがない

んですが・・。(現地人解説)

おしまい。

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