日本語の

          不思議な言い回しのホント意味

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121)し(箸)と は(橋)

この差異の説明、長いことしないままになっているのに気が付きました。申し訳ありません。

表記は同じですが、アクセントの差で意味が違う事を表しています。それぞれどんな風に表現

している言葉なんでしょうか。日本語の原点の説明だけではなく、生活技術の進展に伴い、言葉

が変化することを示すと言う事も考慮する必要があることを示しています。

まずは「し(箸)」。

うつわの上の食べ物を口に運ぶ道具ですねー。道具として、他のやり方もあってしかるべきな

んですが、二本の棒で巧みに運ぶのが日本流の道具の使い方で、その道具を「し」とよぶんで

す。

言葉の要素でいうと「は」は離れた場所、境界を意味します。

「はる」、「るかなた」の「は」は「遠いい所」を意味しますが、原点(自分のいる場所)

から離れ、そこから先は認識不明との境界を意味していることでもあります。

そこへ何か移すことを「はこ(運ぶ)」、「は」と言う事になるわけです。「国司を遣わす」

の「つかわ<つかは>」の「は」がそれです。

し」は「す」の名詞形です。

 

では、「は(橋)」の由来はなんでしょうか。

始めに、我々の持つ「は(橋)」のイメージは鉄橋やら、少し前の時代の、渡月橋や五条の

大橋に代表される木組みの橋、その前の段階の小川にかかる丸木橋(丸太橋)。その前は?

丸木橋なら比較的簡便に作れますね。ですが小川に掛ける程度で、流れは強く、川幅の大きな

場所の渡渉には役立ちません。今でいう橋を作る資材の調達、組み立てる技術、なんてのはい

つの時代に普遍化したんでしょうかね。

 ところで、「は」の原義を考えるとき、ここまでに述べた〇〇橋と言うのは、すべて〇〇

という修飾語を受けており、原点の形式ではないことを示していることを認識する必要があり

ます。

参考にですが、「はし(艀)」と言う言葉もあります。水面(は)に浮かべた器()と言

う事なんでしょうか、運ぶ(はす)器(け)なんでしょう。

「し」はたびたび紹介しています。原点はオシッコをする時の「しー」と言う音を模した擬音

語。疑似表現により、「湿地」を意味する地形語として「しろ(白、代、城など)」などになり、

その落ちたところ(田)を意味する「した(下)」。説明は省略しますが、「しづく(滴)」、

小さいことを意味する「し」、その音韻変化の「ち」など極めて広い展開をしています。

 ここの場合は湿地ないしは水があるところの意味です。まだ「橋」などがどこにでも見かけら

れなかった時代、人間はどうやって水域を超えていったのでしょうか。「更級日記」の中にも出

てきますが、川を超えるとき、子女は大人に背負われ大人は川底の少しでも高くなる石を探し、

一歩一歩渡り歩いたのです。「老いては子に従え」と言うセリフがありますが、本当は「背負い

ては子に従え」の誤記です。

それはそれとして、「は」は「水域を超える」ことを意味するんです。そのための装置、設

備がのちになって確立するとそれが「は(橋)」と呼ばれるようになったのです。ホントは

渡渉の場所なんです。

以上

 
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