日本語の
不思議な言い回しのホント意味 |
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123)「あほ(阿呆)」と「ほら(法螺)」
こういう言葉がありますでしょ。皆さんも日常的に使ってますよね。
その意味は、「広辞苑」によると、 「あほ」:愚かであること、馬鹿なこと。(広辞苑) 「ほら(洞)」:中が空ろな穴。(広辞苑) 「ほらをふく(法螺を吹く)」:でたらめを言う、大言を吐くこと。(広辞苑)
これ等の言葉の語源はどうなるのでしょうか。共通な要素は「ほ」ですね。 「ほ」は火をたくときの擬音語を原点とし、人間生活ときわめて密接な現象であるがゆえに 大変広く展開されているので、ここでその状況を解説しましょう。
「ほ」にはどんな意味とその由来が考えられるでしょうか。
ます。なぜ「ほ」と呼ばれるようになったかと言う事はどこかで解説済みかと思いますが、そ れは、「ほ(火炎)」が燃え盛るとき生ずる音(燃焼音)、「ぼーぼー」、「ほーほー」を擬音的に 表現したと考えられるのです。 さらに、ついでながら、英語では「ふぁいや(Fire)」、漢語で「は(火)」であります。
1-1)その擬態派生語で「ほ(穂)」と言うのがあります。 火炎の形態を持ち、ゆらゆら揺らぐ様を植物、動物の形態にもした言葉です。 炎はベイスとなる燃焼物(薪、炭・・)から上方に向かって揺らぎます。 その様を模した擬態表現で多くの言葉が発生してます。
1-1-1)植物 イネ科などの「ほ(穂)」、麦の穂、ススキの穂、・・・ 発芽した時に双葉でなく一本棒状のものものも「ほ」です。シイタケなどの芽も 「ほ」で、それゆえに「ほだぎ」(穂が所在する木)なる言葉が生まれているんだ と考えられます。
1-1-2)動物 しっぽ(尻穂)、おっぽ(尾っぽ)
1-1-3)人間 かお<かほ>(顔):「ほ」の形のもの。 「ほほ(頬)」:のちに説明しますが「ほ」は「空(うつろ)」の意味を持ちます。 「ほ」の中で内側が空ろの部分が「ほほ」 「ほこ」:男性性器のよび名。子供の小さいのは「ちん(ちな:ちさい)ほこ」 となるわけです。 「ほくろ(黒子)」は「ほ」の様にかたづくる「く」のもの「ろ」。
1-2)「ほ」の擬態的展開として次のようなものあげられます。 「ほし(星)」:「ほ」のちさいもの。 「ほたる[蛍]:「ほ」が所在、付帯するもの。 となるわけです。
2)その「ほ」が燃焼音を伴わない、たとえば、たき火の中の赤く光る現象は「ひ」と表現され るようになっていると考えられます。 擬性表現で、太陽を「ひ(陽)」と呼ぶようになってますが、天空の火と言う事を表現する ために「おひ」と呼んでいるわけです。「お」は上位を意味する言葉の要素です。「ひさま」 と言う表現はなく、「おひさま」となるわけです。
3)それで、火の中にものをくべるとどうなるでしょうか?昔の人は体験的に知ってました。 焼失霧散です。なくなることです。この「ほ(火)」にくべること(所在させること) が「ほる」になるわけです。「る」は別途説明しますが、ある場所、ある状態にあることを表 現します。(いい例が「ある」、「いる」などです。)
結果として、「無いこと(空白、空隙)、目につかないこと」を意味することになって、 「ほら(洞)」は空隙を意味し、 「ほらがい(法螺貝)」:「かい<かひ>(貝)」に対して空ろな殻の貝。 「ほす(乾す)」は火にあてて、水分などを除去することを意味し、 「ほほ(頬)」は「ほ(身体)」のなかの空隙部分を意味し、 「ほと」は体の中の空隙の部分(女性性器)のことです。
4)さらにこれが展開され、「ほ」は拘束が消失することを意味するようになったと考えられ ます。 「ほころぶ(綻ぶ)」 「ほどく(解く)」 「ほどほどに(程々に)」 「ほどなく(程なく)」 「ほっす(欲す)」
以上、語彙要素「ほ」の意味と由来を示しました。
で、題名の「あほ(阿呆)」と「ほら(法螺)」の意味はどうなるんでしょ? 「あほ(阿呆)」:「あ」の原点は、たびたび解説したかと思うのですが、赤子ないし乳幼児が あるものを指し示したりそれを手に入れたがるときに出す声「あー」のことで、 意向、ねらいを示す言葉と言う事になります。したがって、「あほ(阿呆)」は 「お前、何がしたいんじゃ、考え(意向)がわからん」と言う意味だと言う事に なります。
「ほら(法螺)」:根拠がはっきりしないことが「ほら」です。「空ろな言葉」となります。 以上、「ほ」を基幹とする言葉の語源の解説でした。 |
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