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３０）めでる（芽出る）と めでる（愛でる）
どうだろ、ひらがなで書くと同じになるので、漢字で表現するのが普通なのだが、その言葉の由来は？
ばかばかしいようだけど、こんなこと、結構日本語の基本の部分を示している。
そこで紹介しようという事になった。
まず「めでる（芽出る）」。普段は「めがでる」と使う。
まずは「め」の意味だ。「め」といやー「目」を意味することになってる。ちがうかね？
「め（目）」は人間の生命活動上最も重要な器官で、労働災害基本法では「失明は死に相当する」
として扱われている。君たち、目が見えなくなった時のことを想像してご覧。
その「め」と云うのは言葉として非常に広範囲に展開されている。基本は「目」の機能に関連する
ことばなのだけど、「目」の形態を模した表現の言葉（擬態語）にも展開されている。
その一つは「丸い」ことを意味する。人間のものに限らず「め（眼）」は自然界のうちで「真球」に近い
形態をもつ。こんなこと言わなくても、原日本人は知っていた。だから、「まる（丸）」という言葉ができ
ている。
そのも一つの例が「め（芽）」なのだよ。「えー、え？！」でしょ？
現在みたいに、高床式の「いえ＜ゐへ＞（家）」に住んでいると分からないけれど、かっての掘立小屋形式
の家（＜ゐへ＞）に生活していた人たちは目の前で自然活動が展開されているのを毎日見ていた。
住居周辺のゴミ捨て場には春になると、なぜか、食ったもの植物の「め」がいろいろ出てくる。
毎日、毎日理科の授業で生物の観察をしているようなもんだ。
「昔は科学的な知識が希薄であった」など前提にした語源考察が多く見かけるが、
現代の耳学問や教科書学問の様な、他人が考えたことを教わっている知識に比べたら、
「昔の人は、現代人に比べ、はるかに現実を観察した結果の科学的知識に恵まれていた。」
こう言う事を云ったとたんに、「何を根拠に？」となる。
そ、その通り。当然だけど、どこにも記述的な資料は残っていない。
どうしてそういえるのか。詳細は別途解説コラムに取り上げよう。
ここでは、簡単に説明しよう。
一番いい例は、「土器」の開発に示されている。
まずは、日本での土器の特性。
１）日本中で、いたるところに遺物が残されている。
南は沖縄から北は北海道まで。
その量はおびただしいもので、あまりに多すぎて保管に困るくらいである。（我が家も同じ）
皆さん、あまり聞いたことはないとおもいますけど、
日本の土器には、
��世界最古のものがあります。（１万５０００年前と比定）
��世界最大（最重量）の土器があります。粘土重量で２０トン。
��日本中、いたるところで発掘されています。
２）その土器の科学的、工学的特性。
技術レベルの段階では、「物質の改変を伴う」第４段階の技術レベルに相当します。
製鉄と同じレベルです。
それが、日本中でほぼ均質に出てくる。
という事は、原日本人は、現代人並みないし以上の技術レベルに達していたことを意味します。
同時に、技術情報の伝達の早さをも意味してます。
幾度か解説で取り上げている「鹿島神宮の長刀」も土器の開発経緯からみると当然の結果なのです。
製鉄技術は「ヒッキタイト」で始まったという説がありますが、
日本も製鉄技術の発祥の原点の一つであった可能性が非常に高いと思われます。
その証左は鉄に対する「くろがね」という日本の古来の呼び名が示しています。外来語ではありませ
ん。
ま、大分本筋から離れましたが、われわれの、現代の生活はこれまでの日本人の技術開発にたいす
る情念の結果だという事だけは知っておく必要があるんです。
えー？話がそれすぎて、自分でも分かんなくなってきた。
（１）芽出る。
あまり話題になりませんけどね、「め（芽）」というのは、動物の「目」を模した擬態語なのです。
どこが似ているんじゃろ？こう言う事は文言で説明すると、現物、現実を見ていない人には、
大体「そんな馬鹿な」という結論が先になります。ここでは、どんな動物でもいいからどんな目をし
ていたか思い出してください。
どんな動物も目は左右に二つずつ。その目の間に鼻の柱が、縦に。ま、小さな昆虫ではそれほど明確
ではありませんけど。鼻の下側に口が水平方向にひろがる。例外は思いつかない。
ところで、植物の芽、見たことあるでしょ。うーん、さっきから君の顔には「そういやー」と
書いてある。
小松菜も、大根も、胡瓜も、椎の実も芽は双葉で、種から出た茎の部分の先端に双葉が付く。
その双葉の形は、ほとんどの動物の「目」の形。そのあとに出てくる本葉とは異なり丸みを持つ。
地べたに寝転んで、これを見ていると、なんじゃ、動物の顔にある「目」も同じ配列じゃん。
言葉はどのようにして発展し、一般化したかはまだ解明中ですけど、「難しい説明はぬき」でないと
話す人同士の間で、意味不明になる。ごく簡単な類似表現以外は皆が使うことばとならなかったと思
えます。「言葉は擬音、擬声語に発し、擬態語で展開される」という考え（哲学）がベイスになってま
す。「芽」は「目」と同じ形からでた擬態語なのです。
うーん？「めでる（芽出る）」を忘れてるんじゃないか？
そ、いやーそうだった。今更説明もないけど、
「めでる（芽出る）」は芽が出ること。なんでわざわざ取り上げたのか？
現代人はあまり生産活動をしてない。理屈をこねているとカネが手に入る。その金で物を手に入れ
食って生きていける。日本のベイスを作って来た人たちは、生産活動に励み、楽しんできた。
その基本は収穫と狩猟だ。農業をさげすむ人も多いが、農業は科学の原点なのだよ。
「種をまくと芽が出る」なんて現象は誰が発見したのか。縄文時代以前からの知識だ。
でもねー,種をまいた後、芽が出た時のうれしさったら、やっている人しか分からないね。
自分でやってごらん。すぐわかるよー。上さんにとか親に「芽出た、芽出た」と報告する。
おめでたい。その語源の謂われというか、由来は以上の通り。
以上。
おっとっと、「めでる（愛でる）」の説明を忘れるとこだった。あまりこれまでの説明が長かった
ので、ここでは簡単に。
「め（目）＋でる（出る）」を一言で説明すると、
「め」が場所「ど」を占めるという事。一点に目を凝らすこと。
「でる」というのは「どる」と仲間で、「だ」や「ど」は「場所を意味する言葉の要素」。
（別項の「地名の成り立ち」に詳細を述べています。ご参照ください）
「・・る」はたびたび説明してきたが、「所在することを意味する言葉の要素」。
「でる」と云うのは「ある場所に所在する」ことを意味する。日常的には「そとにでる」
「ぶたいにでる」などと使われている。「め」は「める（みる）」にあるように、視線、視認を
意味する。「めでる」は「めをそそぐ（目を注ぐ）」ないしは「めをかける（目を掛ける）」ことを
意味することがわかる。
という事なんだけど、少し解説を省略しすぎたかなー。
以上
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