日本語の

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34)とどめ
 
ちょっとどぎつい表現で、「とどめをす」という言葉がある。「命を絶つこと」を意味する。
「広辞苑」には「とどめをす」は「@刺して息の根をとめる」とあるが、何を刺すのかの解説がない。
これで解説として通るのが不思議だ。足の親指をとげで刺しても死なないじゃん。でしょ?
この言葉は、例によって語彙要素抽出合成法の手法を使って解釈すると、もともとの意味が簡単にわか
る。この言葉も、原初日本人は自然をよく観察し、言葉を生んできたことを示していることがわかる。
結論から言うと「とど」は漢語の「心臓」を意味する。
なぜそういえるのか?何、難しいことじゃない。
「とど」は心臓の打つ音を模した表現なのだ。心臓の音は、人が置かれた状態で様々な音を出す。
それをいろいろな擬音で表現している。いずれの場合も規則的に繰り返す表現を用いている。
強く打つ時の擬音表現では「っき、っき」と云う。漢語で「動悸」という言葉があるのもそのせいであろう。
安静時の音は「っと、っと」、「っど、っど」と聞こえる。
さらに安静にしているときの音は、夜間目を覚ました時、左耳を敷布団側にしているときに聞こえる。
っこロ、っこロ」と聞こえる。
 
では「とど」に続く「め」は何を意味するのか。日本語ではごく普通の事だが、じつは「とど」は
「とど」という動詞が名詞になる時の変化で「とど」となっている。
その「とど」の「む」はなにか?
これについては再三解説で取り上げてきたので簡単に記すと、「発生、発祥」を意味する。
一番身近な例は「むす」、「むす」の「む」で「産んだ子」の事である。
この場合は「とどむ」は「とっど」を「む(発生する)」ことを意味することになる。
「とどめ」は日常的に言うなら、「とっど、とっど」と音を出す「もの」と云う事になる。
日本では心臓のことを「とどむ」と呼んだのが由来でしょう。
「とどめをさす」の原意は「心臓を刺す」こと、すなわち「命を絶つ」ことになります。
「心臓」が優勢語になり、「とどめ」は死語になったと考えられます。「いぬ」が「死ぬ」に
置き換わったのと同じ現象でしょう。
 
ご参考に、
1)時間にかかわる言葉はおおむね「と」を持ちます。期間にかかわる言葉は「ま」です。
(時)、と(歳)、と(後)、おとと<おとと>(一昨日)、ときき(時々)・・
(月)は周期的に満ち欠けするもので、同じ由来でしょう。「もちをつく」もその動作に由来する
と思われます。
漢語に限らず、ヨーロッパ語族で似た表現があります。Herz(heart)→周波数単位
Herz.Time→回数、時(とき)。
周期的な変動は、Tide(潮)、時間はTimeなぞいずれも「T」をベイスにしてます。
2)人間の事を「と」と云うのも、心音を模した表現かと思います。
  これに関しては、「ぬすっと」の項を参照してください。
人間を意味する言葉のうち、尊称は「ひ」。一般的には「と」です。「ぬすっ」、「かりゅう
「くぐ」など「と」をベイスにしてます。
 
あーあ、おやくにたてたかねー?
 
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