日本語の

                不思議な言い回しのホント意味

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38)も(雲)とも(蜘蛛)
 
ごく日常的な言葉だ。こう言うのって語源解説はあまり耳にしない。なぜなんだろう?
日常生活に近い言葉ほど、その言葉をしゃべる人間の言葉の原点に近づく。日常生活の言葉は、発生以来
人間の生活形態、環境などの変化の影響を受けながら変転し、現代の言葉になっている。
そのために、その言葉の由来は直感的にはわかりにくくなっている。当然文献資料があるわけもない。
ここでは、たびたび出てくる、語彙要素抽出合成法による言葉の分析結果を用いて、その概念を考察し
よう。
語彙要素「く」には、いろいろの概念が含まれている。おもなものを記すと、
1)「くち」の代表される「口」を意味する。噛むことを意味する「か」に由来すると思われる。口の動
作、機能にかかわる意味を持つ語彙要素へ展開されている。
2)「ろ(黒)」ないしはそれに類似する「くる<く>(暮れる)」を意味する。由来は鳴き声から
出た名前「(烏)」の色調を模した言葉と考えられる。
3)「くそ」の代表される、「糞」を意味する。由来は、排便時の「ぷすー」ないし「くすー」を模した
擬音語と思われる。擬態、異臭を意味する言葉へと展開されている。
排尿を意味する「しー」と同じ性質の由来。
現代語に用例が多く見当たらないのは「くそ」が直接的表現なる故の忌避現象か?
4)一方、由来は未解明であるが、前に置かれた語彙要素の意味を受け、変質、変形、変位をもたら
す作業をいみする語彙を構成する。加工動詞と言うべきか。
「くく(砕く)」、「く(裂く)」、「く(突く)、「あ(開く)」・・・・
5)「け」の音の変化である木を意味する。身近な例は「くだもの」:木になるもの。
6)「か」と同根の「躯体」、「身体」を意味する
例を挙げるなら「くたびれる<くたひる>(草臥れる)」、「くたばる<くたはる>」。
「た」は前の語彙要素を受け、「こんなもの」という意味を与える。「くた」は身体のこと。
「くたびれる」は身体が「ひる」。
「ひる」は劣化、衰弱を意味する。「しびれる<しびる>」の「びる」も同じ。そうそ、「のびる」
の「びる」も同じ。
「くたばる」は「くた」が「はる」こと。「はる」は「たいらになること」。すなわち、地に伏すこ
と。死んでしまった結果。
この最後に記した概念「躯体、からだ、構造体」が「くも(蜘蛛)」の「く」を意味する。
「も」は「む:発祥、生す」の名詞形。
あわせても(雲)」は「形、構造がうまれもの」という事になる。
それではも(蜘蛛)」は何じゃ?
少しばかし細くなるけど、「くも(蜘蛛)」は「くも虫」とも呼ばれる。この名前が結構ヒントなんだ。
ここでの「く」は、前に出てきた、4)に記した概念の「く」で、「つくる」に代表される「変質、変形、
変位」を与える作業、加工を意味する。要するに、「無い所に何かもたらすこと」。
「も」はまだ由来を解明するに至ってないが、他の言葉での「も」の意味を斟酌するに、「もすそ」、「たも
(手網)」などあるように「糸を編んで作った布状のもの、着衣」を意味する。
あわせて「くも(蜘蛛)」は「(布状のもの)を(作り出す)」を意味することになる。
まとめて結論を述べると、
も(雲)」:形が生まれるもの。平原に座って空を見ていると、つぎからつぎにさまざまな形の雲が
発生し、なぜか「ホー」となるんです。
も(蜘蛛)」:網、布を作る(虫)。壊されても、壊されてもいつの間にかまた巣(簾)を掛けます。
 
という事なんだけど、どうでしょ。
以上
 
言葉の構成から見ると同じようなもんだけど、日本人てのはよーくもの見て言葉を作ってることがわかる。
でも、各地の言葉ではなんていうんだろ。その筋の学界では「方言!」という「放言」という切り捨て表
現があるけど、それぞれの成り立ちを考えるのが「言語学」の原点だと思うけど。どう?
以上
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