日本語の

不思議な言い回しのホントの意味

5)浴びるほど酒を飲む

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5)浴びるほど酒を飲む
「4)お湯割り焼酎」が出たとこで、お酒によっぱらった時の表現「浴びるほど酒を飲む」の話。
うーん、何がおかしいか? そういう君はどうやらまだ酒を飲まないようだ。そのほうがいいんだよ。
なぜかっていうと、答えはこの「あびるほどさけをのむ」に隠されている。そのうちわかるので
続けて読んでください。
 その前に、現代でもお酒は高価なもんだ。ガソリンが高いったって、2008年現在、1リットルで
150円程度。お酒は、安いのでも、その5倍程度。えっ?なぜしってるか?そりゃー、そのー。
 で、その昔は、生活実感からするともっと貴重品だった。お酒が好きな人は決してお酒を浴びるなんて
考えない。一滴もたらさない、おちょこにも残さない。「舐めるように酒を飲む」という表現がそれを示す。
ここで学校の先生に質問すると「文芸的表現なのだよ」と答える。そこで君は「えー!?」となる。
 じゃ、どういう意味なのか。答えは、「あびるが何を意味するのかを知ることによりわかる。
通常は「水を浴びる」という使い方をしている。この言葉が優勢なためにも一つの「あびる」の
意味が見えなくなっているんだ。じゃ、もともとの意味は?
 これを考えるとき、日本語の言葉の要素(語彙要素)について説明が必要だ。
まず、「あびる」は、もともとは、「あひる」であった。(水鳥の「アヒル」じゃないよ。これは又の機会に)
「あひる」は「あ」+「ひる(びる)」という部分から成り立っている。 
まずは、「ひる(びる)」だ。
きみ、君、「足がしびれる」てのは足の感覚がなくなったり、動かそうとしてもうまく動かない時に使う。
でしょ?
ちょっと古いので、気が向いたら勉強してほしいのだけど、「古事記」の記述には、「いざなみといざなぎ」
の間に、子供がおなかにできた。不幸にして、生まれてきたら、「ひるご(蛭子)」だったので・・・
というくだりがある。蛭子というのは一人前に育ちそうもない、未熟児のこと。不幸にして、当時の因習かと
思うが、葦舟に乗せられ、大海へと流された。いまの「流しひな」の原型だよ。
 「ひる」ってのは、上の例に示したように、「機能、性能(はたらき)が本来の特性を失う、低下する
ことを。意味する。
」ってのは「太陽を意味するのが原点だが、非常に多岐、多面にわたる言葉を生んでいる。
「ひもの(干物)」、「ひび(罅)」など、「ひ(陽)」を受けた時の物質、物性の変化もその一つだ。
これとの関係はまた別途説明しよう。ここの場合、「ヒル」というのは、太陽の光を浴びて、本来の機能
働きを失う、若しくは低下する、劣化することを意味する。
 とすると、「あびる」てのは、「あ」の機能が低下するってことか。うんじゃ、「あ」ってのなんだろか?
 「」ってのは「あいうえお・・」の一番最初に出てくる言葉。英語の辞書でも最初に出てくる言葉。
そのうえ、辞書の上で紙面を一番多く使っているのも、「あ」。英語の辞書でも「あ(a)」が一番多い。
 ということはだ、「あ」というのは非常に多面、多岐(要するに、ひろがりがおおきい、)言葉だと
いうこと。なぜそうなるのか?
 これは非常に重要な質問、疑問なのだ。(もっとも、言語学的な分析が進んでいない現在においてだが)
これは、「言葉はどうやって生まれ、発展してきたのか」という点と関係する。あまり指摘されていないが、
  「言葉は乳幼児と母親の間で生まれる」こと、「擬音、擬声で表現されその擬音、擬声語の
もととなったものの動作、形体を模した擬態語で発展展開されるという原則がある。
 「」はその最たるもんなのじゃ。したがって、その全部の説明を一言で解説するのは容易じゃない。
君が生まれて、数か月たって、ようやく一人で座れるようになる。その時君はいろいろのことを口に出す。
その時の言葉に「あー」というのがある。乳幼児は声の出し方をよく訓練してないので、この「あー」と
いう声は、「息をだしながら声を出す時に自然と声となる声」なんだ。問題は、どんなときに「あー」と
いうのかである。このコラムを読むような君は、乳幼児がどんな声を出すか、レストランなどで観察す
るといい。私の見た例だが、その子は、親父がだべているものがほしくて「あー」と手を伸ばした。
母親はそれを見て、親父さんが食べようとしているもを、親父さんに言って、小皿に少しだけ移させた。
その小皿を「あー」といってた乳幼児の前に置く。その乳幼児は「あー」で目的を果たし、
周りのおじいちゃんもおばあちゃんも何もなかったように、お料理を楽しんだ。
 何を言いたいかって?日本語のというのは手の届かない所、遠方、上方を意味する
「あっち」、「あそこ」。などなど。さらに、「上位」、「高位」などを意味する言葉として展開されてるんだ。
 一方で、とっさの思いつきや考えを意味することとなっている。乳幼児の「あー」の原意なんだ。
日常語で言うと「あきれる」、「あそぶ<あそふ>」などなど。つぃでながら、体系的、論理的な考え
は日本語では「」とか「」という言葉を用いる。「さとる」、「さとす」、「しる」などなど・・・。
 ということで、「あびる(あひる)」というのは「思慮(あ)が低下する(ひる)ことなのだという
ことがわかる。
 つまりだ、「浴びるほど酒を飲む」というのは、「物事をきちんと判断できなくなるほどお酒を過ごす
こと」だとわかる。
  わかったー?でも、おいしいと少し飲みすぎちゃうんだよね。え!?なぜ知っているのか?
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