日本語の
不思議な言い回しのホント意味 |
||
コンテンツ左 |
56)あか(赤)
言葉と云うものは、それを用いる集団、グループのメンバーが共通の認識を持つものでなくて
は、「言葉が通じない」ことになり、言葉とは言えなくなります。
色の「あか(赤)」の由来を考える場合も、このことが重要なのです。
先ず、身近なところで、生活の上で「あか」色をしているものは何なのかをもう一度考えてみる
必要があります。
どんなものがあるでしょうか。まずこれを確認しましょう。
1)血(ち):その固有の言葉から「あか」の色を説明したものではないと言える。
2)腔内体色:
(1)口の中の血色(特に、歯茎、上蓋色)。この部位は日本語として何と呼ばれていたのか?
(2)舌(した):(「あかいした」参照)
(3)まぶた(瞼)の内側の血色:(「あかんべー」参照)
(4)肛門(しりあな)に代表され排泄口もしくはその内部
3)肉片の色
「ち」の色に代表される色彩を帯びる。
獣の場合、漢語のにく(肉)に対応する日本の古来の言葉は「しし」である。
一方、魚、貝や鳥の肉はいわゆる赤色はまれである。
いわゆる「しろ(白)」に近い色である。
4)ほのお<ほのほ>(炎)もしくは木片などの燃焼時発色
「ほ」、「ひ」ないしは「ほのお<ほのほ>」と云う表現がある。
「すみ(炭)」、「おき(熾き)」などの発色は「すみび」、「おきび」などと呼ばれている。
5)太陽の日の出、日の入りの際の色。
「あさひ」、「ゆうひ<ゆふひ>」の色。
6)地平線の空の朝焼け、夕焼け。
「あさやけ」、「ゆうやけ」の「やけ」の意味は「(そらを)おおう<おおふ>」という
意味の「やく」の名詞形。「や」は「やね」の「や」と同根。
別項で紹介してあるが地平線は「あかね」と称している。
「あかねいろにそまる」は「あかね、いろにそまる」のことである。いろの「あか」とは
直接の関係はない
7)火山の噴出する溶岩、火炎。
火山の名前は「ほたけ」、「ほたか」などと呼ばれるように「ほ」が主として用いられてい
ます。溶岩流を模した表現は「やけだけ」でしょう。
そのほか、気がつかれたことがありましたらメイルください。
以上の「あか」関連事象のうち、「口の中の表面」は何と言うか、日常語からはすぐには出てきま
せん。実はこの部位の呼びが「あか」なのではないのかと考えられます。
どうしてそういえるのでしょうか?これまでもたびたびご紹介している、
「語彙要素抽出合成法」を援用するとみえてくるので、これを紹介します。
語彙要素の意味はこれまでたびたび説明してきた通りです。
「あ」:いろいろの意味がありますが、「あ」は手の届かぬ遠方、若しく上方を意味します。
展開されて、位置関係のみならず、人間関係の上下の「上位」をも意味するようになっ
ています。「あに」、「あね」など身近です。戸を「あく(開く)」の「あ」も同じ由来で
す。
「か」:「か」にはいくつかの概念が含められています。
一番原初の言葉に近い概念としては「かむ(咬む)」とか「は(歯)」があげられます。
上下の歯を、意識的にかみ合わせた時の音「かっ」が原点かと思われます。
これが展開されて、「かむところ」すなわち「くち」となったと考えられます。
「くう<くふ>(喰う)」の「く」も同じ意味で、「くちにする」ことです。
両方合わせて
「あか」は「上側の口(の中)」を意味することになります。現代語では「上蓋」です。
以上
|
コンテンツ右 |