日本語の

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77)でんしゃがこむ(電車が混む)
「電車が混む」ってセリフは日常的ですよねー。でも、言葉通りに解釈すると、線路の上に、何台もの
電車、列車が並んでいる情景を意味すんですよね。あまりくだくだと説明すると皆さんに叱られるかもし
れないので、簡単に説明すると「電車がお客さんで混んでいる」と云う事を省略しているんです。
で、「こんでいる(混んでいる)」ってのはどう云う事なんでしょ。なぜ取り上げたかと云うと、この
「こむ」と云う言葉は地名に非常にたくさん使われているからなんです。たとえば、東京では「うしごめ
(牛込)」。ほかにも「まごめ(馬込)」、「こまごめ(駒込)」。まだまだたくさんあるでしょ?
何なのでしょうか。
「こ」は日常的に「ここ」とか「そこ」なんて使われています。
この「こ」と云うのは、木の棒で在る場所を「こっこ」と叩きながら場所を示す事に始まったと考えられ
るのです。すなわち、「この場所」という限定的な、ポイント的な場所を「こ」で示しているのです。
そう云う狭い場所に何か、在るものが押し込められている様を「こむ」と云う事に成るわけです。
「む」はたびたび取り上げていますが、「目視、視認できる様」を意味します。
 
でー?「うしごめ(牛込)」てのはー?
「うし」と云うのは、これも何度か取り上げていますが、「し」の「う」。
「し」は水、転じて湿りを意味します。「しー」という「おしっこ」から派生した基本語彙要素です。
しずく<しづく>(滴)とか「しめりけ(湿り気)」なんて使われている。
「う」は「うえ<うへ>(上)」の「う」で「上位、高位、優越」などを意味します。
あわせて、「うし」は「低湿地のなかのやや高いところ」を意味します。そんなのがいくつも散在する場所
が「うしごめ(牛込)」なのです。
東京の牛込は飯田橋と市ヶ谷の中間の北側に在ります。現代の地図では先ず見当がつきませんが、牛込
の南側は、江戸時代に埋め立てられ、干拓された元低湿地です。碁盤の目のような市街地が近世の都市で
ある事を示します。その北側には江戸川(現呼称は神田川、元神田上水)が流れていました。現神田川は
御茶ノ水駅の北側を、深い谷を経て隅田川のほう流れています。実はこの部位は前述の干拓のために、江
戸城周辺の洪水を防ぐために、江戸の初期に掘削された人口河流なのです。
その以前の牛込の状況はピンときません。でも、前述の通り、広大な低湿地の中のやや高いところ
が散在したところなのです。
日本中に「うし」の付く地名が在ります、いきさつは同じようなもんでしょう。
「牛頭」を「ごず」と読ませていますが、もともとは「うしあたま」で「うし」の中の「高いところ(多
摩)」の地名で、後世、「うしあたま」では恰好つかないと云う事で、読みを変えたものでしょう。
 
以上
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