日本語の

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81)やすり(鑢)
「やすり」てのはよく使う道具だ。近頃じゃ、サンドペーパなんてのも出てきて、これが「やすり」と
おもっている方もおられる。ひと昔前では、鉄の板か棒の表面にギザギザがついていたのが普通だったん
じゃなかろうか。「ひらやすり」とか「ぼうやすり」なんて呼ばれていた。そのさらに昔では河原なぞの
表面が荒れた石やもう少し上等の仕上げ状態を得るには、ヒノキの皮とか縄なんかも用いていた。
場合によっては、砂やら、米糠なんぞも用いられていた。
てなことだが、こんなことは皆さんご存知ですよね。でも、「やすり」ってのはなぜそう呼ぶんでしょ?
日本語の言葉の要素(語彙要素)を含んでいるんで、最初にその説明ですが、
まず、「や」。
「や」は大変広範囲の抽象的意味を持つ言葉の要素になっています。
その一つが、「おおう(覆う)」ないしは「さえぎる(遮る)」事を意味する語彙要素になっています。
日常的な言葉の例で説明しますと、
(山:耶麻):高い樹木がうっそうと繁茂した場所。
(闇:耶目):視界が妨げられてよく見通せない様。
さらに展開されて、「おおうもの(覆うもの)」とか「ひょうめん」を意味するようになっているんです。
ね(屋根):上表面を覆う、水平状のもの。
(鞘):「さ」についてはいろいろの解釈が在りますが、光おびた刀のことで、これを納めた物。
その二つが、前述の概念の展開語で、上に立ち、庇護ないし保護する事を意味する語彙要素となっています。
日常的な言葉の例で説明しますと、
(親):「お」は「上に存在する」さまを意味します。上に立って、擁護、保護する事になりま
す。
ど(宿):現在では旅行などで一時的に宿泊するところを意味しますが、元々は、安息の場所
を意味します。百人一首にある「わがやどは みやこのたつみ しかぞすむ ・・」
の「ど」は「自分の住まい、自宅」の事なのです。
 
す(癒す):「い」は活力、生命力を意味します。擬声語の「息をする」の「いき」からきたもの
と考えられます。
などなどです。
それでは「す」は何でしょう。
これは「こる」や「さる」にあるように、いわゆる「る(磨る、摺る、擦る)」の事です。表面を
擦ることで、由来は表面を軽くさすった時の感触音「するする」や「さらさら」によると考えられます。
 
あわせて、「やす」は「表面をする道具」と云う事になるんです。
云いたい事は「や」が表面を意味すると云う事。
以上
本文
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