日本語の

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82)おごる(奢る)
「おごる」って言葉はよく耳にしますでしょ。「今日はおれの奢りだ」なーんて、仕事を片付けた課長さ
んが部下を集めて飲み屋に出向き、部下を慰労したりする。当然だが、費用は課長さんの持ち(負担)。
でだ、その部下の一人が、別の日に、課長さんに、「今日は私の奢りで」なんて言うとどうなるか。
課長さんは不機嫌になり、「いいからしごとしろ!」なんてなる。
一方で、平家物語の冒頭に「おごれるものはひさしからず はるのよのゆめのごとし」
なんて使われている。(注:この場合は異なった漢字「驕る」が充てられています)
 
奢るってのは何の事なんだろうか。なぜ課長さんは不機嫌になったんでしょうか。
この言葉のもともとの意味を例によって、言葉の要素(語彙要素)の意味により考えますと、
「お」は上位、優位を意味します。現代語では、尊称と云う表現で多くは使われています。「おとうさん、
おかあさん」の「お」です。太陽の事を「おひさま」というのも「上にある火」というのもその一例です
びっくりした時、心臓の音が耳に聞こえんばかりに「どきっ」としますが「おどろく」と云う言葉になっています。ここでの「お」も、通常に比べ、上位、優位にあることを意味しています。
「ごる」は何でしょうか。ちょっと解説が長くなりますが、辛抱辛抱。
「こ」にはいろいろな意味が在りますが
@ごく限られた場所、ピンポイント的な場所、を意味します。「ここ」、「あすこ」、「よこ」などなど。
由来は、棒などである場所を示す時、地面をたたき「こっこ」としたのに始まると考えられます。
A木や木材を意味します。木と木をたたき合わせた時の音「こっこ」に由来すると考えられます。
こづち(木槌)なんて言葉が在ります。「こま(駒、高麗)」など樹木の生い茂るところの地名でもあります。(「高麗」は「高麗人が移住したところ」なんて解説が在りますが「高麗人」は「こうらい」の人の事です。現代国名「韓:コウリャン」の事です。)
B現代語の「こころ」を意味します。由来は安静時の心音「こっころ、こっころ」に由来すると考えら
れます。
る(凝る)」とか「こ(忽)」と云う言葉が在ります。
い<ひ>(恋い)」なんて言葉もあります。
「よろぶ<よろふ>(喜ぶ)」と云うのもあります。いずれも「こころ」の「こ」の状態に由来
する言葉と考えられます。
ということで、
おごる」は「こころを高いところに位置する、状態に在る」事になります。現代語での「いばってい
る」事ですネ。
濁音化しているのは度々解説で記していますが、「通常では無い、努力を伴う行為の場合には濁音化する」
と云う原則によると考えられます。
課長さんが不機嫌なわけ、わかりますか?
以上
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