日本語の

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93)うなぎ(鰻)
毎年、夏の盛りの土用になると、店先で「うなぎを食べて暑さに挑戦」とかなんとか、大賑わいです。
今年は7月27日と8月2日がその土用の日にあたり、店先はなかなかの繁盛でした。
「うなぎ」は万葉集の歌にも出てくるようで、昔から日本人の鉱物のようです。
で、その「うなぎ」ってのは何に由来する名前なんでしょうか。声を出しませんからその形態や行動を模
した言葉なんではないかと考えられます。
俗説というほど言いはやされてはいませんが、「鰻には胸が黄色がかったのがいるのでそれを模して、
胸黄」としたというのがあります。鰻の胸は基本的には銀色です。たまに薄黄色のがいるそうですが、例
外的な事柄を取り上げて名前を付けても、共通の認識にならないので通じない言葉になるため、そのよう
な説は正しくはありません。
ヒントは、古くは(万葉集歌など)「むなぎ」と言っていたということです。
(万16−3853参照。武奈伎。和名抄では无奈岐)
むなぐ」を用いた言葉には「胸」、「胸倉」など多数あります。また「むな」の「な」には言葉の要素
して分析すると、「なみ(波)」にあるように、ゆっくりと反復繰り返すもの、ことを表現していることが
わかります。その原点、由来は研究中です。「む」は「うむ(生む)」にあるように、なかったものが発生
する、発祥することを意味します。「こけむす」の「むす」も同じ表現法です。
最後の「・・ぐ」は「・・く」の派生語と考えられます。「・・く」についてはたびたび解説に記してあり
ますが、「変質、変形、位置などの移動」などの行為を示す言葉の要素です。通常の行為ではなく、努力を
伴う行為の場合「・・ぐ」と濁音化するという癖があります。
あわせて、「むなぐ」というのは、「胸を一所懸命くねらせる」ことを意味するということが分かります。
 現在では、「うなぎ」はかば焼きになったのしか見ることはまずないと思われますが、昔は、魚で大き
な樽に水を張り、「うなぎ」を何十匹も入れておりました。それを必要に応じ魚屋がかば焼き用にさばいて
いました。小学生など、樽のヘリにつかまって、鰻が樽の底から水面まで体をくねらせながら上が
っては降りする動きや裁かれるときに「きー」と声を立てるなぞを飽きもせず見物していたものです。
今では見かけ無い、生物の実験的観察をさせてもらっていました。今の小学生が習っているのは、先生
のお話で、科学ではありません。かわいそう。
「むなぎ」が「うなぎ」に変わったいきさつは単なる音変化によるものと決めてよいかどうか疑問があ
ります。「うなぎのぼり」という言葉がありますが、鰻が樽の中でほぼ垂直に上ってくる様を見ていると、
鰻の体をくねらせて上がってくるときの動作は「むなぐ」です。
しかし、その垂直に上方(う)に上がってくる様を表現するとなると「うなぐ」ともなりえるんです。文
献を読んでいるうちに答えが出てくるかもしれません。
 
まったく関係ないようですが、夏の盛りに熱い風を受けて、細い枝をくねらせている街路樹があります。
有名なのが「銀座の柳」。この「やなぎ」の「なぐ」も「うなぎ」の「なぐ」と同じでしょう。「や」は
「上を覆う」ことを意味します。「やね」、「やま」などご紹介済みです。上の方で枝をくねらせている様を
模したのが「やなぎ」と考えられます。
以上
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