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99)地名「かつしか(葛飾)」と 「しかはま(鹿浜)」
なんかしりとり遊びみたいなタイトルですが、まじめな話なので読んでみてください。
初めに、その所在地ですが、関東地方では、次の通りです。
「かつしか(葛飾)」
現在では、「東京都葛飾区」なる行政区画名が有名になってますが、これは、明治以降の廃藩置県
の際の県境の変更に伴うもので、もともとの「葛飾」とはことなるものです。
下総の国と武蔵の国は古利根川と古隅田川と隅田川を境界としていました。現在、両国なる地名が存
在しますが、本来は下総の国と武蔵の国を結ぶ架橋が両国橋であり、その袂の町が両国と呼ばれるように
なっているわけです。(「大江戸博物館」は下総の国にあるわけです。)
で、「葛飾」なる名称はすべて古利根川の東岸と、古隅田川以南、隅田川以東にあり、もともとは下総の
国の地域名です。下総台地に付帯する地域になります。どんなものがあるかというと、北の方から挙げま
すと、(明治初頭の迅速図ほか、その集大成地図によります)
西葛飾郡:現、栗橋、古河周辺地域(現、茨城県所属)
北葛飾郡:現、幸手の東方地域(現、埼玉県所属)
中葛飾郡:宝珠花周辺地域(現、埼玉県所属)
南葛飾郡:江戸川以西、隅田川以東の地域。古隅田川以南。(現東京都葛飾区、江東区所属)
東葛飾郡:下総台地、江戸川以東。(現千葉県所属)
この変更は、明治初頭の廃藩置県の際に、東京(江戸)を都(みやこ=天皇在所)とし、その領域を拡
大するために、従来の行政区画を変更し、江戸川を県境とした結果です・参考に、南足立郡も東京市に編入
しました。南足立郡は大宮付近を中心とした足立郡に付帯した名称です。この領域は元々は東京湾
の海域でしたが、その後の地殻変動で、海域が低湿地になり、それ故に地名を受けたもので、「南足立郡」
となったわけです。
これらの地域の地勢上の特徴は、関東平野の地図をご覧になればすぐにわかることですが、
西葛飾郡:かっての東京湾が地殻変動で干上がった際に、その背後の山地から流れ出る、思川や渡
     良瀬川、鬼怒川などが出口を失い、淀み、低湿地を構成したところです。多くの水域が
     発生していますが、「長井戸沼」はその代表です。
名称は「東葛飾郡」に対応したもの。
東葛飾郡:「西葛飾郡」に対応した地域名称で、下総台地の総称です。東側は現茨城県の低湿地帯、
に囲まれたところです。北東側は猿島郡、南相馬郡、印旛郡、香取郡などに隣接してま
す。南東側は、上総(古称「かつさ」)の国に接しています(村田川が境界)。
「北葛飾郡」や「南葛飾郡」:は地殻変動がさらに進んで、その上徳川幕府による干拓(利根川の流路
変更や江戸川の新設)により、水域が減少し、干地が生じたものです。
比較的近世に生じた領域で、吉田東吾著の「大日本地誌」では、「・・和戸井沼辺りより東南
には、曾て古の郷名の残れると覚しきものなし、・・」と記されています。
「北葛飾」は金町以北、「南葛飾」はその南側、古隅田川以南。。
「北葛飾」は別途ご紹介しますが、淡水内海であったところ。
「南葛飾」は東京湾入り江であったところと、と考えられます。現在でも、
「マイナス0メートル」地帯。
 
いずれも、低湿地帯。
「しかはま(鹿浜)」は赤羽の東方、荒川(放水路)の北岸の地名です。現在は東京都足立区にぞくしま
す、環七と首都高速道路とが交差する付近にあります。かっては現埼玉県の足立郡の南部が古東京湾に
面し、付近一帯は湿地帯でした。その後、関東地方の地殻変動により、徐々に地盤が上昇し、江戸時代
には人が住むようになり、南足立郡と呼ばれるようになり、従来の足立郡は北足立郡と呼ばれる。その
南足立郡は明治の廃藩置県の際に東京府に編入され、その後、足立区になったというわけです。
その平坦な湿地帯の地名が「しかはま(鹿浜)」です。今でも空地を見ると葦原が見られます。
 
ということで、「かつしか(葛飾)」と「しかはま(鹿浜)」の所在と地勢上の特徴は以上の通りです。
現在の東京都の隅田川以東はいわゆる「0m地帯」で「−2.5m」も認められます。
「更級日記」という平安時代の日記を読むと下総の国府市川から東京の浅草までの記事がありますが、
湿地帯や水面の移動で大層の苦難をしたことがあらわされています。通過地名すらあいまいです。
時間があればご参照ください。
 
しか」というのは「低湿地」を意味します。「し」はおしっこの「し」、「か」はからだの「か」。
「しか(鹿、飾・・)」のつく地名は各地にあります。似た地名に「うし(牛)」のつくものがありますが、「し」の「う」、「低湿地にある高み」のことです。漢字表記はすべて当て字なん
です。
 
で、「かつしか」の「かつ」は何を意味するんでしょうか。残念ながら、まだ研究中です。
地名では「かつさ(現、かずさ、上総)や「かつた(勝田)」、「かつうら(勝浦)」など
「かつ」のつく地名はたくさんあります。
それと、地名というのは人間の目が届く範囲でつけられているのが通例で俺を超える範囲の名称
は「行政区画名」なのが一般です。「かつしか」はこの例だと考えられます。これらを総合的に勘案し、
結論が出たところで、ご紹介します。
 
以上。
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