地 名 を 設 定 す る 目 的 と そ の 方 法 |
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地名を設けることの目的とその方法はどんなものでしょうか。
ある人物が他の場所へ出向いたとき「どこのもんだ?」と訊かれることがある。もしくは積極的に「ど
こそこのもんだ」と説明することがある。したがって、人の名前と同じで、地名はある場所を連想させ、
特定できる必要がある。
かっては、出身地が「姓」を意味していた。 清水の次郎長、飯岡の助五郎、曽我の五郎などがその
典型である。歴史的な人物、神武天皇の元々の呼び名は「かむやまいはれびこ」。すなわち、「かむ」
の「やま」の「いはれ」の「ひこ」である。(古事記での表記:神倭伊波禮毘古。倭人なれば「やまと」と
読めるが「人(と)」がないので「やま」と解すべきではないか)。
直訳すれば、「九州(かむ)の八女のイハレの男」で、地名を頭に持った名前である。
「イハレ」は「イハル」で「元気な」もしくは「威張る」を意味したのかもしれない。
地名が周知になっている場合はそれを用いればよい。しかしながら、地名というものが当初から
あったわけではない。地名がない場合だとして、あなたならどう説明する?
例をあげると、こんな風になる。
「おめえさん、どこのもんだや?」
「うみのほうのもんす」
「ほー、うみからきたんか?」
「そーじゃねーす、うみべのあしがへーてるはまのとこですよ」
「なーんだ、あしはまからきたんか。
あしはまにゃー、ちょうべいさんてのがいたな、いろいろせわになった」
「そでやんすか。わっしはあしはまのげんたっていいます」
という具合ではありませんか?
この例では、「あし浜」というのは「植生、あし」と「地勢、は」と「場所、ま」の組み合わせで成り立
っています。
この例のように、地名は一般には地勢を表現する言葉と、それを補足する、植生やその他の特徴
を示す言葉と、場所を意味する言葉により成り立ってます。
基本部位は、上述の「ま」に代表される、場所を意味する語彙要素であり、その場所の特徴を表す、
地勢、地形を意味する語彙要素を受けるのが一般的です。両方を合わせて、地名が作られています。
地名の構成の例をあげましょう。
さくら(佐倉): 「ら」は「くさはら(草原)」が代表するように、ある特性の場所を意味します。「さく」
は「裂く」の意味で、名詞形は「さこ」、すなわち渓谷を意味します。佐倉は、「谷筋の
発達した場所」ということになります。ここでの佐倉は千葉県の佐倉市のことです。
現地へ足を踏み入れたとたんに、納得できます。「さこ」だらけです。
本佐倉を中心とした地名ですのでお間違いなきよう。佐倉城址は本佐倉とは離れた
ところにあります。
では、地名を成り立たせている語彙要素にはどのようなものがあるのでしょうか? 特別なものはなく、
ごく普通の日本語の語彙要素と共通することに注目してください。
3)の「地名の成り立ちと言葉の要素」の項で解説します。
なお、、行政制度が生まれてからの地名には、その土地に対しての期待とか願望をあらわしたもの
や、 行政界、行政制度などの変更に伴う造語(命名)地名が多数現れています。この場合、漢語を使用
しているのが特徴です。「京都」、「東京」は典型的な例です。
本稿では取り扱いません。
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