日本語の

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105)きいろいこえ(黄色い声)
 きいろい声(黄色い声)って言葉あるでしょ?
女のひとや子供が、何か感情を込めて一所懸命話しているとき、その話しっぷりを「黄色い声を出す」と
表現します。でも、声には色はついていないんで、その由来を知りたくなるんです。
漢字は当て字です。ですから、音(おん)に頼った由来の分析が必要です。「広辞苑」にも由来までは載っ
ていません。
 初めに、漢語の「黄色(おうしょく)」は日本語の原点では「くいろ」と呼んでいたようですが、これは
「くり(栗)」の色を模した表現です。現代の「きいろ」は別のもんです。( 54)き、く(黄色) を ご参照ください)
 
「いろ(色)」は現代語では、色彩(英語のcolour)のことですが、もともとは「い」と「ろ」で
できた言葉で、人間の心意気、活力を意味しています。( 50)いろめ(色目)を使う を ご参照ください)
「い」は「いきる(いく)(生きる)」や「いきざま」の「い」で、生命力、活力などを意味します。
由来は、呼吸に伴う鼻の中の空気流動音「ひーふ」、「ひーく」、「いーく」を模した擬音語です。
参考に、「しぬ(死ぬ)」の原型は「いぬ」で「息がないこと」「生きていないこと」を意味します。
 
「ろ」は「こんなもの」ということを表現する言葉の要素で、「いしころ」、「いぬっころ」などの「ろ」
と同じです。
 
あわせて、「いろ()」は人間の心意気、活力、男女間の思いなど、生命活力を意味します。
「色目を使う」、「色っぽいしぐさ」、「いろいろ」などたくさんの言葉があります。
別項「いろ」をご参照ください。
 
で、「き」は何を意味する言葉の要素なんでしょうか。これが本項の中心テーマ。
ほかの言葉の要素でもそうですが、「き」にはいろいろの意味があります。
その一つが「じゅもく」の「き(木)」です。がもともとは「け(毛)」だったと考えられます。
「こけ」、「けのくに」、などなど。
その二は「もののけ(物の怪)」にあるように、具体的な事象としては示せないが、何か存在をうかがわ
せるものを「け」と呼んでいます。音的に変化し「き(気)」となっています。
その三は、ここの例ですが、「き」は何かの極限、限界にあることを意味する言葉の要素と言えます。
 
どんな言葉からそれが言えるのか、用例を記すと
「きわ<きは>」、「きわめる<きはめる>」、「きわめて<きはめて>」
「きりがない」、「これっきり」
「きまじめ」
きりがないので、この辺で。
由来は
この説明の前に、たびたび解説していますが、言葉の原点というかニーズは子供とその母親の間の情報
交換とか、意見交換だということをあらためて認識する必要があります。当然のことなんですが、子供,
特に嬰児(あかんぼ)はいわゆる言葉を教えられていませんし、知りません。それでも、自分の感情、要
求を表現するために必死で声を出します。その声を、母親は必死になって理解しようとします。それが言
葉の原点です。大学の先生や、年配の男の先生にはわからないのでこのことは研究対象になっていません。
その一つは、自分の要求が満たされず我慢できないとき、不安が昂じて我慢ができないとき、母親に対し
て「きやー」とか「ぎやー」とか声を張り上げます。医者の玄関前で「ぎやー」と叫んで、
入るのを拒んでいるシーンを見たことありますか?
もう一つは、もう少し年を得てくると、仲間で遊んでいる時なぞ、うれしさ、感極まった時に「きー」と
か「きゃー」とか声を張り上げます。近所の公園などで椅子にでも座って観察してみてくだ
さい。うれしさいっぱい、楽しさいっぱいの気持ちを表す時の発声です。
この「きー」とか「ぎゃー」とかいう発声を模した言葉が「き」という言葉の要素になっています。
その意味は、あることが限界にあることを意味するようになっているのです。
前述の用例、
「きわ<きは>」、「きわめる<きはめる」、「きわめて<きはめて>」
「きりがない」、「これっきり」
「きまじめ」
など、吟味してみてください。 
ご参考に、類似説明で 71)きわめる(極める) があります。
 
で、本題の「黄色い声」は自分の意向、想い、感情を極限表現する「こえ」ということになります。
なぜか子供とおなごの場合に用いられます。なぜなんでしょうか。
現代ではあまり関心がないようですが、つぃこの間までは、
「男は思ったことをそのまんま口にするもんではない」と言われていたと思いますが、
黄色い声を出すのは差し控えるもんだったのでしょう。
 
以上
本文
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